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出刃の裏押し


先日から、頭を悩ませる研ぎを行っています。
いや、、悩むほど難しい研ぎではありません。。

ひたすら、出刃の裏スキが無くなるまで押す研ぎをしています。。

2015-2-17.jpg

写真中央の押し始めた出刃包丁は、僕が淡々と裏押ししている最中の包丁です。
その他は、お客さんから送られてきた、裏ベタの包丁達。。
それらは裏ベタに見えますが、、実際は反った砥石で研がれた為に、中央が膨らんでマス。。

「裏の比を大切に!」を提唱しているのに、どうして? こんなにも裏押しをするのか!

この出刃包丁達は、表具屋さんの出刃包丁で、魚を捌く用の出刃として使用しません。
砲台の無いカンナのような使い方をするようで、裏が平面じゃないと駄目らしい・・・。

腕がパンパンになりつつ、時間を見つけて裏押しをする日々ですが、刃研屋の重鎮「小田幸徳氏」
が会社に遊びに来たので、なんとか効率良く研ぎ出す方法は無いかと尋ねてみた。

研ぎ出す方法は、要約すると「がんばれ!」って事になりましたw

ですが、出刃について話が聞けました。


昔にどこかに書いたかも知れませんが、包丁鍛冶は薄物(柳刃や薄刃) 厚物(出刃など)
に分かれていて、そればかり作っていた。 (現在の鍛冶屋は全種類作る。)

出刃は、本出刃、相出刃、身卸出刃、などを専門に作っていたようで、その中でも魚を捌くのに
使わない、「表具出刃」「鳥出刃」なども作っていたとの事。

表具出刃と鳥出刃は、裏の比が極めて少なく、ちょっと裏押しすれば、すぐにベタになったようです。
鍛冶屋の時点から、専用包丁として生み出していた。。との事。

表具出刃なんて、使う現場が極端に減っているし、鳥出刃の需要もあまり聞かなくなった・・。
必然的に売れない物は作らないので、表具出刃を使う職人は魚用に作られた出刃を使うしか無い。

そう!しっかり、裏の比が取られた包丁です。。。

今回、預かった包丁の殆どが、料理用出刃包丁で極端な言い方をすれば裏の比をえぐってある
ような包丁ばかりでして・・・。 裏ベタになりにくいように研がれている訳ですw

そんな中でも、有名店の刻印が入った包丁は、鋼が良い状態で研ぎ易い硬度になっています。
ホームセンターで買ったと思われる出刃は、硬いだけ・・・。

そんな包丁が合計8本あります。

そんなこんなで、、しばらく、裏押しを続けなければなりません。。。
ほとんど、鋼のみを研ぐ作業なので、平面の本焼包丁を研ぎ卸すのに等しい^^;

とりあえず、頑張ります。

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お疲れ様です(^^;

表具出刃なんてあるんですねぇ。
冒頭で写真を見たときは、何が始まったのかとビックリしましたよw

それを手でやるのは骨が折れますね、、
よく「〇〇製作所」とかにある卓上ベルダーで8割位削ってから砥石でやれば、大分楽かもしれません。
ただ、摩擦熱で焼きが入ってしまう可能性
がありますね、、
それだったら、フライス盤では?
高炭素鋼の切削となると加工賃はどうなんだろう?
試しに聞いてみるのも良いかもしれません。

余談ですが、鋼材の「黄鋼」っていう字はどう読むのが正解ですか?

Re: お疲れ様です(^^;

コメントありがとうございます。

表具出刃以外にも、布を切る専用の物などがあります。
昔は、切る削るの道具を鍛冶屋さんが作っていたんですよね^^
今は、工業用刃物が発達したので、鍛冶屋が打った道具は減ってます。

ベルトサンダーも考えましたが、確実に焼きが戻るので止めました。
研削油を掛けながらフライス盤もアリですね^^
高炭素鋼と言えども、工業関係からすれば知れてる硬さだと思うので、
加工賃と言うよりも、手間代を多く取られるかも知れません。

8割ほど終わりましたので、もう少しの辛抱ですw

「黄鋼」ですが、、僕の回りの職人さんは黄紙(きがみ)と呼びます。
白鋼(しろこう)青鋼(あおこう)黄だけ黄紙ですね。。

教えてください

お邪魔します。 そろそろ、まともな出刃包丁を持ってもいいのではないかと思って、
熊本で評判の加治屋さんに注文しました。 165ミリのものです。ミラーっぽくなってはいましたが、グラインダーの傷が随分目立だつので、数打ちとはいえ、こんな誤魔化しみたいな事しなきゃいいのにと勝手な感想をいだきました。 とりあえず、研いでみたところ、裏押しするとカタカタ安定しません。砥石の平面は出したばかりです。念のため、他の砥石で確認しました。どういうことかと調べたところ、刃先のラインと峰のラインが微妙に角度が異なることが分かりました。机の上に持ってきて、べた置きしてみると、峰側だけ切っ先から三分の一くらいが浮いています。 こういうことは、よくあることでしょうか?それとも不良品でしょうか? 教えてください。よろしくお願いします。

Re: 教えてください

て-つさん

コメントありがとうございます。
現物を拝見しないと、詳しい事は解りませんが、メールの内容から想像するに、
峰側が浮いているならば、刃側が砥石に付いていると言う事になりますので、
OKラインだと思います。裏スキを峰側に抜いている可能性があります。


もしも、カタカタで刃付が出来ないようであれば、
購入した鍛冶屋さんに一度相談してみても良いかと思います。
数打ちですと、お値段相当と言う事もあります。

プロフィール

TATSUYA AOKI

Author:TATSUYA AOKI
大阪堺の包丁屋で働き、試行錯誤を繰り返す男です。

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