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豚バラ肉と牛刀と柳刃

続きです。


満腹ご満悦の僕に師範から、「達哉君ちょっと! はい、切ってみ~」

てな感じで、豚バラ肉登場デス。

101118-3.jpg

鋼材違いの、寸法違いの庖丁で試し切り開始です。

当然ですが、研いである庖丁ですので切れます。
切れるんですが、切れ込み方がもどかしい。。。

肉が脂でブレードに張り付いて、肉を引っ張っていきます。
切るつもりで切らないと?一刀両断ができません。
ギコギコ切るか、押し込みながら(押さえつけながら)刃を動かすしか無い。

牛刀のブレード(刃先以外)をあれこれ研ぎ上げたとしても、脂っぽい肉では
張り付きと言う点で抵抗できません。。たぶん。

肉以外の食材(野菜や肉でも赤身)だと、また違ってくるのかと思いましたが、
脂っぽい。脂で切れなくなる、切れつらくなると言うのを体感しました。

ただ、唯一庖丁の重みがある方が切り易かった。
ドン!ズバスバっと言う感じ。 薄くて重めの牛刀となれば、9寸ぐらいの
寸法が、マッチするように思いました。食肉加工の工場で庖丁を納品して
おりますが、270とか300とかばっかりなのも納得!切る物が大きいと言う
点もあると多いますが。。。

そりゃ~スチール棒でシャキシャキやりたくなるわ~~


で、


単にそれで終わっては、牛刀で肉を切って感じると言うだけの事になってしまう
のですが、師範から、「この銀三鋼の柳刃で切ってみ!」っと

101118-4.jpg

なんとゆう事でしょう。←ビフォーアフター風に読んで下さい。

脂による張り付きが極めて少なく、切れ込みが凄い!
肉が引っ張られる事なく切れます。 当然、柳刃なので引き切りです。

柳刃押して切ったらイマイチでした、でも引いて切ったら抜群です。
じゃあ牛刀の引いたら切れるんちゃうの? っと思うわれる方が居られ
ると思うでしょうが、牛刀は押しても引いても張り付きと言う点で、
抵抗が凄かったです。 牛刀のバランスからして、押す切り方の方が切れました。

そんなに切れる柳刃でも、やっぱり脂が巻くと切れ味は落ちてきます。
それを見た師範が、庖丁を洗剤で洗浄! そして切ってみると切れ味復活。

柳刃の方が良く切れるから、柳刃を使いましょう!!
って軽々しく言ってみたい気分ですが、総合的に考えると、牛刀の方が良さそうです。
柳刃繊細過ぎるし、片刃なのは、長い距離を切る場合は切る技術を要求されそう。

牛刀でも、もっと切れる何かがあるのかも知れませんが、初体験としては、かなり
印象に残る、ハッキリとした感覚を味わう事が出来ました。

そして、柳刃(片刃)の凄さを改めて実感しました。


いつもながら僕の為に肉を用意して頂いた師範には感謝です。
そして、切れ味テストで厚みバラバラに切ったお肉を、賄いとして美味しそうに
食べてくれるお姉さんに感謝です。。←調理は師範なので、何とか美味しく仕上げて
くださる師範に感謝です!


念願の河豚天丼


とある打ち合わせにて、上田屋に行きました。
河豚天丼チケットと、河豚スペアリブのチケットを堪能してきました。

101118-2.jpg
贅沢な逸品でございます。。
こちらに+カキ入り味噌鍋風味噌汁が加わり至福の時間を過ごしました。


地球温暖化?海水温の具合でしょうか、、まだカツオが居りました。
僕が捌いたカツオからパワーアップしていました。

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見て下さい。脂の乗り具合を!! これは背中側の身で、腹側はもっと
脂ぽかったそうです。 これだけ脂があって、カツオの味と脂の旨さを
味わうならば、背中でしょう~ っと師範。当然ですが、旨かったです。


この後、豚バラ肉を牛刀で切らせて頂きました。

続く

研ぎ職人の経験と修理と


堺の庖丁研ぎ職人は、鍛冶屋さんが作った庖丁の生地を、研いで歪みを取って
鋭く仕上げていきます。 庖丁研ぎの原点は、ココにあって刃研ぎ職人さんが
後々の事を考えて研がないと、ユーザー(調理師さん)は上手く研げません。

まあまあそれは、置いといて。。。

いやいや、置いとかなくて。。

研ぎ職人さんは、最初から庖丁に刃を付けてるので、ど~してそうなるのか?
を知っているのです。知っているからこそ、的確な修理が出来たり、何が原因で
形が崩れたのか、刃が綺麗に付かないのかが解るのです。

この解るとか解らないとか言う話は、アレコレ試行錯誤していないとダメなようで、
失敗や成功を繰り返して、経験を積み上げてきたんだと言う話を、今日聞きました。
調理師さんからの意見も相当広く聞き回ったようで、その話もイロイロ教えてもらいました。

なんていうか、時代を超えて色々な事情を知っているだけに、説得力もあり、納得させる
理論?考え?思い?を持っていて、僕もそうなりたいと思うのでした。

そうなると、鍛冶屋さんから上がった生地を、自身で刃付けをしてみる事が必要か?
っと思ってきました。 今現在で、そんな時間は到底無いので、落ち着いたら門を叩いて
みようかと目論んでいます。 あんまし深く入り込まない程度にしないとデス(笑)


今日の研ぎ修理

今日は、夕方に家庭用として使われているINOX牛刀を研ぎました。
「これが無いと。。直ぐに持って帰りたい!」と言う奥様のご要望に応え、
ダッシュモードで刃付け修理スタート。

激しい欠け(波刃のパン切のような。。)修理と、完全に無くなった切っ先を
研ぎ出すべく、砥石に向かいました。

砥石をアレコレ変える事なく、最速と思う砥石セッテイングにて研ぎました。

流石に、機械砥石を導入しましたが、その研ぎ目を消す作業に、超セラ#3000、
刃先周辺を光らせる為に北山で研ぎまして、家庭用としての刃の掛かりを出す為に
刃の黒幕#2000を使いザクザク入る系の刃にしました。

よっしゃ~完成!! っと思ったら、「コレも持って帰りたい。」と、もう一本!
包丁の状態は同じ感じだったので、同じ段取りで刃付け修理。
(ど~して一緒に出してくれなかったの?)笑


今日の修理では、その包丁がどんな物なのかを知っている事で、アレコレ考える事
も無く、完成系を決めて突き進めたので、早く修理が出来たように思いました。

それと、怠けてるわけでは無いですが、家庭用と考えた場合、研ぎ過ぎるのは良く
無いかなぁっと思いました。 繊細な刃は、繊細な使い方が要求されるので、適度
な研ぎ抜き具合が、結果的にはベストなのかも知れませんね。。

養殖ハマチと銀三鋼

土曜日、久しぶりに上田屋へ行きました。

まもなく河豚シーズンなので、あんまりガヤガヤ邪魔も出来ないなぁ~
っと思いつつ行くと、上田屋VIPルームでは河豚パティー開催中!

そして、上田師範と愉快な仲間達の定例会??が行われておりまして、
皆さんのご好意により、定例会に参加させて頂きました。。

今日は、食べる専門!!!っと思いつつ。。。

「養殖やけどハマチあるから皮引きして刺身も引きや!」

養殖のハマチと言う物がどんな感じなのかも解らないままチャレンジ。
もの凄い脂デス。。 でも、思いのほか脂が潤滑油となってスムーズに皮引きができました。

IMG_0025.jpg
写真は腹身のほうデス。
大変うまく出来たように思います。。←自己満足



この後、刺身にしましたが、脂がまな板にベットリで身が滑ってしまう。。。
まな板を綺麗に濡れた布巾で拭いて、乾いた布巾で再度拭くと良いのだと師範に教わりました。
でも、庖丁に脂が付くと滑らないのはなぜ? まとわり付く感じって。。。

で、銀三鋼の切れ味でありますが、しっかり掛かりながら切れる感じを受けました。
比較する為に、白二鋼や白一鋼でも引かせて頂きましたが、切れ込む感じや抜ける感じ
滑らかさが個々に違う。砥石の違いや庖丁の厚みや重さに違いがあれど刃が入る時の、
スッと言う感じが大きく違いました。 これが切れ味と言うものか!!
何回も違う素材の庖丁で同じ食材を切らせて頂いているのですが、毎回ハッキリ感じる。

切るだけコンテストがあれば、白一鋼が一番ハッとするかも。。

この後、マグロの筋っぽい所も切らせて頂きました。筋って、、、なんやねん!!!
切りにくいったらありゃしねぇ(笑)

養殖魚の脂っぽさ、筋に関して少し引き出し増えました。

疾風と大平

今日は、出荷作業を終えてから少し時間が出来たので、庖丁研ぎをした。

キズの疾風(NGのヤツ)があったので、それを研いでみました。

久しぶりに荒砥から始めてみましたが、研ぎ始めて直ぐに錆が浮いてきますね。
粗くなれば、なるほど錆が浮き易い。 クレンザーでゴシゴシしながらの研ぎです。
しかしながら、一気に刃道(切刃)を作ってしまうには荒砥が便利!
特に霞の庖丁だと、軟鉄部分があるので早く狙った状況に出来ます。
荒砥の研ぎ目を消すのが面倒ですが、中砥で刃を整えている間に消えてしまう!

その後、中砥(錆びる成分配合の中砥)で研ぎましたが、良く研げるかわりに、
みるみる錆びが浮いてくる。。「やっぱしな・・」っと変に納得しつつ(^^;
一長一短でありますね。

で、、霞作りの為に青砥を導入して、ドロドロになりながら仕上げ砥に辿り着きました。

通常業務内の小刃合わせで、天然を多様している事もありまして、土井さんの庖丁
とすこぶる相性の良い、大平鉱山合砥にて最後の小刃を合わせました。

10-11-02-2.jpg

なんと言うか、人造のカツンっと来る刃の掛かりは無いんですが、確実に切れ込んでいく
感じの刃が付きました。 サクっと入るのではなく、スゥ~っと入るアレです。
裏押しも、この砥石で研ぎました。 吸い付くように鋼を喰うので相性抜群です!

10-11-02-3.jpg

刃先だけをピカっと光らせたい気持ちにもなりましたが、天然の風合いを残す感じで!
天然砥石しか無い時代は、こんな感じだったんかな?

天然でも奥深く光る石と鋼材の相性があるから、ピカピカにしてたかな?


ピカピカした庖丁よりも、こんな風に霞んでいる方が切れる感じがすると聞きました。
どうなんやろ~ 光るなら光らせた方がエエかな? 好みの問題か??
でも、鏡面風の方が錆には若干強いよな~。。

お好みでどぞ!! ←投げやりではないデス(笑)

プロフィール

TATSUYA AOKI

Author:TATSUYA AOKI
大阪堺の包丁屋で働き、試行錯誤を繰り返す男です。

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