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目詰まりと鏡面

朝から、本刃付けをしました。

ゆったりとした午前中だったので、デジカメを側に置いて研ぎました。

研いでいく途中経過をレポートするのも堂々巡りっぽいので、最後の方だけを少々。。


2011-8-29-001.jpg

INOX本焼なので、切刃を仕上げ砥石で研ぐと鏡面になります。
鏡面になる砥石なんぞもあるわけですが、写真のように砥面を黒く目詰まりさせると鏡面に
なり易いです。 完全に目が詰まると傷っぽく曇るので適度に詰まらせると良し!

これは、目詰まりした状態で研ぐ=磨くになるので、たいして研げません!
もちろん掛かるような刃は付きにくい。 青とか白なら掛かる刃が付くかもですが、
目の詰まった砥石で研いでいるので、砥石本来の性能を発揮していないに等しい。

*刃の掛かりには2種類あるように思う。
「ノコギリ刃による掛かり」と「刃先が薄い事による掛かり(食い込み)」
前者が「糸引」で後者が「ベタ研ぎ」と今は思ってます。

目の詰まった砥石は、包丁から削り落とされた粒子によって砥石がコーティングされた
状態であると思うのです。 なので、本刃を付けに行く時(INOX場合の糸引)は!!

2011-8-29-002.jpg

完全に目詰まりを取る! 斜めに変色してる部分があるけど、これは水が浸透したあと。。

この状態は砥石本来の粒度がむき出し状態!
刃先に粒度なりのノコギリ刃を付けてやろうじゃないかの待機状態。

2011-8-29-003.jpg

これで糸引きを入れます。
砥石面に鉛筆で落書きした様な状態は研いだ跡。。

2011-8-29-004.jpg

これに裏押しして、この状態に!  僕的には最終糸引きで限界の目詰まり状態。

この状態でパリっとした刃が付いてなければ、再び目詰まりを取って同じ作業を繰り返す。
今日の場合は、よ~く刃を伸ばした(薄くした)事もあったりで、1発OK!


色々な意見もあると、思うんですが糸引推奨派の僕としては、炭素鋼でも洋包丁でも
この方法で、パリっとした刃を得ています。洋包丁はちょっとテクニックが必要かもですが、
一度試してみて欲しい、最終研ぎのお話でした。

鏡面は、目詰まりした仕上げ砥石で磨こう!
本刃は、目詰まり無しの粒度むき出しの仕上げ砥石で研ごう!

鬼アジ

友達が、鬼アジなる物を釣ってきた。

50cm近い真鯵で、牛刀で捌くと言うので出張捌きに行ってきた。

180mm出刃と240mm柳刃のINOX本焼を持参して、修行中の身でありながら!
三枚卸の方法を上田師範の言葉を思い出しつつ、自分が言われて解り易かった
説明を駆使して順を追って一緒に捌いていった。

横で、包丁使う友達の姿をみて、「そこ、違う!!」とか思ってしまう僕って・・・。
そうやったら、「包丁の刃が!!!」って少し悲しくなる僕って(^^;

魚捌きを習い始めた頃の師範の心の叫びが今になって聞こえるようで。。。

なんやかんやで、刺身になったのでOK! 友達も出刃を買って練習すると。。
釣った魚は、自分で美味しく捌くべし ←偉そうな事言ってマス、、僕(^^;

で、その時使った包丁達を、先ほどミラクルエッジにて復旧させました。
相手が鯵だった事もあるけど結構無茶な使い方した割に、ダメージ少なく
仕上げ砥石だけで刃が戻ってしまった。

変な話、研ぐ必要もないくらい切れてたんですが、ギンギンにしときたくて!

白疾風


300㎜柳刃白疾風1本だけ密かに在庫持ってました。

今日、最後の柳刃が出荷されます。 少し寂しいような嬉しいような。
庖丁は道具であって、使う事によって意味を成す!
大切に使って頂ける調理師さんの元へ旅立ちます。

本刃付けを承ったので、出来るだけ減らさないように研ぎました。

土井敬次郎氏より唯一技術を継承した土井逸夫氏が、
いつの日か復刻「白疾風」としてを打って下さるの心待ちにしようと思います。

last-shirohayate-yanagi.jpg

白疾風「剣型柳刃」「先丸蛸引」は、少しだけ残っています。
寸法は限定されてしまいますが。。

だったん


だったんそば、、ではありません。。

脱炭です! 包丁から炭素が逃げてしまった状態をこう呼びます。
焼き魚で言うと、焼け過ぎてバサバサな状態かも知れません。

こんな包丁は、良く無いなどと言われています。。
ある包丁を研いでいて、「あれ?なんでだ?」っと思う瞬間がありました。

小砥石で、ゆっくり研いでいると解り辛いし、一応切れる刃は付くんですが。。。

回転する大きな砥石で研ぐと、包丁が溶けるように研げて行きます。
研ぎ終えると、ササクレのような刃先になってしまうんです。

職人さんから、「脱炭したらそうなるなぁ~」 そんな話を聞いていたので、

持ち主に、その包丁について何も伝えないで聞いてみた所、「スグ切れなくなる」との事。。

酔心の包丁でないので、あまり話す事では無いと思ったのですが、実は研いでみて
感じた事を伝えました。 持ち主の方は、「こんなもんやと思ってた。。」っと。。

変な状況での確証でありますが、炭素が抜けてしまった包丁の性質というか、
状態を勉強する良い機会になりました。

切っ先アールフェチ


お盆休みの最中、出勤してメイルの返信やH団長の庖丁各種の研ぎ直しを行いました。

研ぎ直しと言うよりも若干の型直しで、「切っ先アールを綺麗に出して~♪」と言う依頼。


研ぎ出してみると、結構過酷で切っ先アールを出す=シノギアールも出す!!って事で
水砥を出動させ、ガ~っと研ぎ卸しました。

砥石を入手しにくいイタリア地域と言う事もあり、切れ味と強度の両立を目指しました。
良く切れるを追うと、刃を薄くしたくなるのですが、万が一ポコっと欠けると修正の労力
と砥石の消費は激しく、出来るだけそのような事態を回避する事を考えて研ぎました。

刃肉を厚く取れば、それなりに強度UPになりますが、抜けが悪くなる。
って事で、抜けを良くするイメージで仕上げました。(シノギ筋上げめ!)

刃先はそれなりに厚みを残していますが、抜けは抜群で刃の掛かりもギンギンです。
掛けて、切って、抜けていく! そんな感じです。


刃元~切っ先アールまでは、砥石にあててグングン研ぐ時間との勝負!
切っ先アールの始まりから切っ先までは、右肘上げの右手角度とのテクニックな時間。

砥石にペタっと当てて研ぐ場合、これら二ヶ所の切れ刃は別の研ぎを行う事になるので、
段差が出来るのですが、この段差を感じさせる事なく一枚に仕上げるかがキモで、
庖丁と砥石の当たり部分に意識を集中させて、押し込むように研いでいきました。

特に出刃は”3D”率が高いので、刃先以外の部分をローリング研ぎで滑らかに!

なんだかんだで3時間くらい掛けて4丁を研ぎ上げました。


途中、砥石の面直しなどもしたので、腕に疲労感タップリなんですが、切っ先アール
部分の研ぎが面白くて、モニター用INOX本焼柳刃の切っ先アールを研いでしまいました。
特に研ぐ必要も無かったんですが・・・。(^^;

しばらく、切っ先アール作りの研ぎに嵌りそうデス。。

っと言う事で、そろそろ帰宅しようと思います。

夏期休暇のお知らせ。

(有)ナイフシステムより

2011年8月12日~17日まで夏期休暇の為、お休みを頂きます。

18日(木)より通常営業致します。

よろしくお願い致します。

薄い包丁の妙


薄い切付庖丁を本刃付け中です。

薄い包丁=脆くなる のは必然。。薄い包丁が良く切れると言う印象もありますが、
実際の所は、判断が難しい所であります。

外国人ですが、元厚2㎜にして欲しい!との事でしたが、そんなのペテナイフ並の厚みなんですよ。。
霞の庖丁(軟鉄+鋼)なので、厳し過ぎる!
裏の比&シノギ筋を立てるわけですからせめて3㎜~3.5㎜あたりでお願いしました。

霞を生かした化粧研ぎ本刃付けを試みましたが、3㎜ちょっとでは切刃にノリシロを作れず。。。

2011-8-11-002.jpg

まだまだ技術が足りないなぁ~っと痛感しています。

確かに良く切れ込みますが、自分で切る必要がありそうな包丁に仕上がっています。
通常の和庖丁重量バランスの切れ味を想像して、薄かったらもっと切れるだろう!!
っと思って使うと、「あれ?」っと思うかも知れません。

切る割合が変わる感じがします。 自分の切る力(切ろうとする力):包丁が切る力(重量と掛かり)
これが 通常5:5ならば 7:3ぐらいになった感じです! これは好みの問題かもデス。


単純に! 薄くて、重量感(高質量)のある包丁が出来れば、良いのでは?
現状では、本焼包丁、土井さんのように叩いて締めた重量感ある霞包丁になりますね。。

鋼材のアレコレ、硬度、砥石の種類。 包丁が切れる為には総合的に考え無いとダメっぽい。


とりあえず、要望に近い形で仕上がってますので、あとは刃先の処理で強度と切れ込み
掛かりの3点の折り合いを考えて最良の刃付けをすべしです。

糸引刃では心許ないので、刃先に小刃をつけようと考えています。

ダイア仕上げ?砥石


#8000あたりのダイアモンド砥石で、糸引き&裏押しをしてみました。

何を目指したか?何を試したかったか?と言うと、研ぎは刃先にノコギリ刃を付けると
いう観点から、流動砥粒のない砥石(ダイア)でしっかり刃先に砥石の目を反映させたく
やってみました。 某大学の博士と話て思い立った行動デス。。

砥石の泥も研磨力を上げてくれる!などなど言いますが、刃先のみに焦点を絞ってみた。

青、白、銀三、INOXなどを試してみましたが、研ぐ包丁が硬いほど想像に近い掛かりを
得る事ができました。 青と白なら”白” 銀三とINOXなら”銀三”です。

一番ナイスな刃具合を体感できたのは、白二鋼でした。

パリっとした方が、エッジが立って露骨に掛かる刃が付く!
食材を切ってみないと、解らないので試す必要はありそうです。

砥石のカタチ


庖丁研ぎは、奥深く難しいもんです。

結果的に切れるようにするのが、庖丁研ぎの基本ですが、切れるにも
色々あって、刃の掛かりやブレードの抜けを考えだすと膨大なパターンが存在します。

研ぎ方について色々な工夫は必要ですが、何よりも砥石の面が平面でないと自分の
思った通りに研げない事が多いように思います。

当然ながら、研ぐと砥石は減るので常に平面を維持する事は難しいのですが、
一定のラインを超えてしまうと、庖丁が砥石に当たらない部分が出てきたり、研ぎたく
無い部分が砥石に当たって刃がベロンっと返ってしまったり・・・。

反った砥石で裏押しをしても、カエリが取れる所と取れない所が出てきたりもします。

では、ダイヤモンド砥石が反らないから良いのでは?? っとなりますが、ダイヤは
反らない分、シビアな砥石当たりをしてくれるので、猶予がない感じになります。

そう考えると、ある程度減る砥石で面直しをしながら研ぐのが良いのかも知れないと
思いながら研ぐ今日この頃です。


プロフィール

TATSUYA AOKI

Author:TATSUYA AOKI
大阪堺の包丁屋で働き、試行錯誤を繰り返す男です。

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