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青一鋼本霞の研ぎ


今日は、青一鋼本霞と伝承の本刃付けを行いました。

伝承は、普通に研げば簡単に本刃付け完了するので、奇抜なテクニックを使う事なく
切刃を研ぎ上げる事ができます。 今日は本当にその研ぎ易さを実感しました。。

これで、妙な形状に研ぎ上がってしまうのであれば、砥石が変形(反ってる)してるか
基本的な研ぎが出来ていないかの、どちらかになるのではないでしょうか。。。

教科書通りの研ぎが出来れば確実に良い研ぎが行えると心底思いました。


この伝承の構造を作り上げている刃研師さんに、青一鋼本霞の薄刃を研ぎ上げてもらいました。
薄刃と言うのは、研ぎの中でも最も難しい部類の包丁で、これは調理師さんも感じられている
と思います。 製造側も同じように、基本的な研ぎを行うのは神経を使う包丁であります。

その包丁を、今日砥石に当てました。

薄刃の本刃付けも、難しく気を使わないと、どんどん刃が破れて変形しようとします。
出来るだけ先の方を砥石に当てないように、のりしろを合わせていくのですが、
ペタっと砥石に当てて、普通に研ぐだけで均等に研ぎ上がってきます。

やはり切刃には多少のエクボが出てきます。 でも均等に当たるのでグングン研いでいけます。

刃が適度に薄くなってきたので、僅かなエクボは無理に取らないようにして、ダイヤ砥石から
#4000の中仕上げで、整えていきます。 この時すでに、砥石に吸い付くぐらいの状態。

今日は、ここまでで研ぎを終えました。 

この時点で既に、しっかりと鋭い刃が付いていました。 薄さ+掛かりを兼ね備えています。

明日、もう一度この包丁を会話して、最後はどのように仕上げるかを相談しようと思います。


取りあえず、本刃付けをここまで楽にさせる事が、研ぎの基礎で出せる事に感動デス。

「俺、研ぎが上手くなったんちゃうか~w」 っと錯覚している間に、寝ようと思います。

牛刀60本


今日は、和包丁少々と牛刀を60本ほど小刃合わせしました。

本来牛刀は、ある程度刃がついているものなのですが、、、
肉眼で確認出来るほどのカエリがずらずらと。。。。
ジュディーオングのヒラヒラみたいになってるわけです。
(量産で作ると60本全部同じ仕上がりになっている事が多い。)

当然、ヒラヒラなのでカッチリした刃が出ていないので、
全て小刃合わせに掛かりました。

ヒラヒラになってるって事は、薄くなり過ぎているわけなので
それらを整え、適正な厚みに変えていきます。

見た瞬間、#2000あたりの砥石に走ってしまいそうですが、無駄に
研いでしまうと、カエリの堂々巡りに陥るので、あえて研げない#3000
を使用して、小刃を合わせに掛かりました。

研げないけど粒度は#3000なので、それなりの掛かりと滑らかさが出ます。

ゴソゴソ研ぎをしているのを社長が見て、「そんなに違いがあるんか?」
っと珍しく食い付いて来たので、水で濡れたスポンジを切ってもらいました。

ビフォー/アフターです!

人間とは素晴らしいもので、切れないとギコギコ切ります。
切れない包丁で、切ろうと思うと自然にそういう動きになるのかと観察。。

研ぎ上げた方は、ギコのギもなく、サクっと切れ込む!

「ほんまや!意味、あるんやな。。」っと言って立ち去っていきました。

牛刀ゆえに、そこまで鋭さにこだわる事も無いかも知れないのですが、
その包丁が持っているポテンシャルを出して出荷したいんです。
(小刃合わせの範囲ですけど。。)

こんな事、続けてると器用貧乏になりそうですが。。。

青一水本焼


青一鋼水本焼フグ引を本刃付、最終小刃合わせを行いました。

2012-4-18.jpg

青一鋼本焼の本刃付は初めてでしたが、思っていた通り非常に粘り硬かったです。

ペティーのような使い方をするようで、短いフグ引包丁です。
厚みもかなり薄く、良くしなる包丁に仕上がっています。

しなる包丁は、研ぐ力が逃げるので、研ぎにくさを感じました。。。

よっぽど、変な使い方をしない限り、簡単にへこたれるようには思えません!
もっと刃を薄く伸ばせそうでしたが、爪に乗る程度で止めました。

ダイヤの砥石で切刃などの構造を形成し、#3000 #4000 #8000と番手を上げました。
#8000辺りでは、単に磨いているだけか??っと思う始末でしたが、鏡面になりにくい
青一鋼もキラキラになりました。

最終糸引は、久しぶりのマルカ中山を使用。。。 
薄さによる掛かりと鋸刃が加わって、キュキュっと良く掛かる刃になりました。


お詫びと訂正:
青一鋼の記事に合わせて、特集「青鋼のすべて」で青紙スーパーの炭素量表示が
間違っていましたので訂正いたしました。 間違い、お知らせ頂きありがとうございました。

指復活!


ようやく、指も治り人並みに仕事が出来るようになってきました。

早い復旧です! まだまだ若いか。。

これで、本刃付を再開できます。


*沢山の方から、お見舞いのメールも頂きました、、ありがとうございます。

右手、人差し指


久しぶりに切りました・・・。

しかもタイトル通り、右手の人差し指です。

切ると言うよりも、指先を削ぎ切ってしまった。


現在、指先がワクワクしています。


INOX本焼で切ったのですが、小刃合わせ終わった状態で
カンカンに掛かる状態ゆえ、指紋に掛かり瞬時に削がれました。


ああ、折角何もない週末なのに、、ああ各地でブリが釣れているのに。。


不幸中の幸いか、研ぎにとって重要な左手の人差し指でなくて良かった。


肉を食べたら早く治るのかしら? 


#3000らしい砥石


サンプルで頂いた#3000と言われた砥石。。

これが、鏡面になるけど、思っている刃が付かなかった。
(そんなに実験してないので、思い込みもある。。)

しばらく、放置していたのですが裏押し部分を鏡面にしたかった(化粧です)ので
思い出したように使ってみました。 相手は疾風の切付包丁です。

なんと! #3000の掛かりで、#8000並の滑らかさで刃が付きました。

矛盾っと言えば矛盾なのです。。掛かってるのに滑らかって・・・。
粘りのある包丁のカエリ取りしなくても、パツンっと掛かった!
伝承も一度当ててみたいと思います。

糸引使いした感じなので、ペタっと当てた場合はどうなるか解りませんが。。。

いずれにしても、新しいアイテムをゲットした気分です。


そんなに高価な砥石では無いので、相性を見てご案内出来ればと思います。

本刃付けの順番


本刃付けする前に、どう研ぐか・どこを研ぐかなどを考えます。
いや、、考えていたつもりでした。

刃付屋さんが研ぎをする時、効率的な面もあって回転する砥石で研ぐわけです。
円で研ぐので、平面では研いでない事になります。そうすると、エクボなどが出来る。

このエクボを綺麗に取りたいわけですが、強引に取りに行くと形状が崩れたりシノギ筋が
壊れてしまう事が多いですし、だいたいそんな事になります。


今日、信頼する刃研師さんが会社に来た時、「この包丁、、研ぐのしんどそうですよね?」
っと、ある包丁を見せました。


刃研師: じ~っとみて 「そうか?そんな事ないやろ、、達哉君はどこから研ぐ?」

っと言われて、僕も切刃やシノギの具合を再チェック。。


達哉: 「ここから研ぎたいです。」

刃研師: 「そうじゃないんやなぁ~、、 俺ならココから研ぎ出して、ココとココ研いで、
       この部分で、帳尻を合わせて一枚に仕上げるなぁ~」

達哉: 「???」


って事で、仕事を終えてから、それに似た包丁を本刃付けしました。


取り合えず、言われたように研いでみた。 やってみないと解らない!!
信頼している刃研師さんで、疑いは一切無いけど内心マジか??っと思いつつ。。


青一鋼水本焼と言う硬い鋼材だった事もあり、時間は掛かりましたが、刃研師さんが言う通り
包丁が、どんどん理想の形(シノギ&切刃)になっていきます。 マジでした。。。


結果的には、いつもと同じ仕上りになりましたが、仕上がるまでの時間や慎重な研ぎをせず、
自然体で包丁がパリっと研ぎ上がりました。 ピンスポットで狙った所を効率良く研ぐ!


まさに、刃研師さんならではのアドバイスであり、このお陰で階段を一気に5段ほど飛ばして
登る事が出来たように思います。 こんな事、、中々教えてもらえませんよ。。。感謝!


ちなみに! この刃研師さんが研いだ包丁は、あれこれテクニックを駆使しなくても、
ちゃんとシノギ筋は立つし切刃も当たってきます。 もちろん多少のエクボはあるけど、
教科書通りの研ぎで、バッチリです。。


この刃研師さんも、色々経験して調理師さんが考えて研ぐ事を軽減させる為に、工夫した
研ぎを考案したのだと思います。 それを研ぎ出すには、時間が掛かるようですが、調理師
さんが研いでいく時間の方が長い訳でもあり、日々研ぐ事を思えば、最高の基礎研ぎが
施されている事になります。


研いでみないと、切ってみないと、食べてみないと 解りませんね。。


お腹が減ったので、今日は早々に帰宅します。

鍛冶屋のキ・モ・チ


本焼包丁の事に続いて、鍛冶屋さん側から思う刃付けについてを聞いてみました。

自分で一生懸命鍛錬した包丁が、どのように研がれるのか気になると共に、理想の
刃付けと言うのがあるようで、、その思いも聞いてみた。

基本的に、鍛冶屋さんには刃付けの技術は無いので、どように研げばそうなるのかは、
解らない。なので、鍛冶屋さんから刃付屋さんに伝える事も難しいわけです。


さて、鍛冶屋さんの理想とする刃付けとは何でしょうか。。。


ここで書ききれる程の事では無いので、大まかに書くと。。

研ぐのは裏と切刃であって、、、 っと言う事は平が平らだと・・・・。 って感じです。

超大まかですが、ビビビっと来る人はキテルと思います!



ひと通り聞いた後、鍛冶屋さんが理想とする刃付けとマッチする研ぎをされている
刃付け職人さんの研ぎ上げた包丁を見てもらいました。

「こういう感じじゃないですか?」

そこから無言で、じーっと色々は方向から包丁を見て、少し驚くと言うか納得した感じでした。

「でも、私は鍛冶屋だから、良く解りませんが、こんな感じ!」っと言う返答。

この良く解らないって言うのは、恐らく自分で研いでみないと解らないと言う意味だと思います。


ちゃんと聞いて無いので真相は解りませんが、この鍛冶屋さんは多分自分で打った包丁を
自分で本刃付けしているかも知れません。 だから、刃付けの理想が生まれてくるのかも!


思い起こせば、「砥石はG-1で十分だ!」と言っていたのを思い出しました。
研いでないと、こんな言葉は出てこないんちゃうかな・・・。


刃付屋さん曰く、「本刃付けせな解らない事ばかりやで!」より意味深く思えてきます。


調理師さんは、本刃付けして使う(研いで使う)ならば、実際に研いでみないと!!!
って事かもしれません。 味見しないで、お客さんに出すような事は無いでしょうし・・・。


その具合を鍛冶屋さんが探っているのは、少し驚きましたしバチっとハマればより一層
使い易く、切れる包丁を生み出してゆくのでは無いかと、ワクワクしてます。


本焼きの長切れについて。


特集別誂カテゴリーでの記事です。




刃付屋さんと話した本焼が長く切れると言う一つの理由。

霞は、軟鉄と鋼を合わせて作っています。
本焼は鋼のみで作っています。
切る部分は同じ鋼なのに、本焼の方が長く切れるのはどうして??

軟鉄は、炭素量が少ない鋼材であって、焼入れ焼き戻しに応じません。
炭素とは、包丁に最も必要な要素で不可欠な物です。

この炭素が、炭素量の多い鋼から 炭素量の低い軟鉄で移行するのでは?
っと言う話です。 言うなれば、軟鉄が鋼の炭素を僅かでも吸う!

だから、切る部分が同じ鋼でも霞の鋭さ等よりも、本焼きの方が上になる。

っとの考えです。

これは、科学的に実証された訳ではないので、想像の範囲を超えません。






そんな話の後で、鍛冶屋さんと話す機会がありました。

試行錯誤されている鍛冶屋さんなので、鍛冶屋ならでは明確な意見?理由を受ける事ができました。







いい包丁を作る条件としては、包丁に与える熱が最重要視される。

鋼は精錬される時に1度熱を経験している。
もう、これ以上熱を与えたく無いのが本音だけど、包丁の形にする為には熱して鍛錬する必要がある。

霞と言うのは、軟鉄を付ける作業がある。簡単に思うが、本焼よりも難しい作業。
低温で火造るといえど、それなりの温度でないと綺麗に接合できない。
(土井さんが造る包丁は、低温にこだわる為、アイケなどが出やすい。でも、鋼を労っての事。)

本焼は、温度を上げないで淡々と叩いて伸ばすだけで包丁に整形できる。
(高温にすれば、早く整形出来るけど、形を造るでは無く切れる包丁を造る事が仕事である。)

霞、本焼の両者を造る時に、鋼が経験する熱が違う事が、一番の理由だと思う。

っとの事。


ここで、刃付屋さんと話した炭素移行についての事を聞いた所、

接合している部分で、それはある可能性があるけど、そこまで吸うような事は無いと思う。
よく、鋼化している軟鉄を見る事があるが、これは炉の中でコークスや炭の炭素が軟鉄と
還元して起きた現象。 だそうです。


ただ、刃付屋さんの言う見解が0では無い。 
僕が聞いた鍛冶屋さんの製法だと、そのような可能性は無いと思う。。との事。
鍛冶屋さんも、沢山居るので高温で火造りしてしまう場合、炭素を吸う可能性は否定出来ない。






ついでに、僕の見解。


鋼の方が密度が多いので、本焼きの方が重量感のある包丁に仕上がる。
重量は、切れ込むと言う事に大きな影響を与える。
包丁が切れ込むとき、調理師さんが切ろうとする力が少なくて済むので、
思っているよりも切れる印象を受けるのでは無いかと思う。

霞、本焼き、同じ重量感の包丁を作った場合、本焼の方が薄く作れる。
包丁は、薄い方が物理的に抜けや通りが良くなる。

重量感があって、薄く作れるのも一つの構造的理由

*疾風が霞にして重量感あるのは、土井さんが軟鉄等を叩きしめて密度を上げてるから。







これらは、製造側からの意見であります。






そして、昨日の記事で頂いた調理師 lovekidoldさんの意見も、実際に調理されている方ならではの
食材との摩擦と言う一つの理由もあるかと思います。
http://hibisyugyo.blog84.fc2.com/blog-entry-647.html#comment839





ずらずらと書いてみました。主に、製造側からの内容ばかりですが、何かの参考になれば嬉しいです。


本焼ベタ研ぎ!


今日は、ある本焼包丁(キズ物)を本刃付けしました。

まず、自分が思い描く本刃付けのスタイルで研ぎ上げてみて観察。

そこから、ベタ研ぎに向かってドンドン研ぎ込んでいきましたが、
まだ、こんなに刃肉が残っているのか・・・。っと少し衝撃を受けました。

ある程度の所で、研ぎを止めて観察。身近に切る食材などが無いので
仕方なく新聞紙などを切ってみましたが、えげつない刃の抜け!!

なるほどな。。。これを味わうと、これまでの本刃付け具合では物足りない。


ここで、止めて置けば良かったのですが、、、どこまで行けるやろ??
っと悪い虫が騒ぎ出し、カンカンに研ぎ込んでみたところ、想像通り、
ペラペラになって、収拾が付かなくなってしまった(^^;

研いだ包丁が白鋼だった事もあるんですが、青鋼なら行けるのか!


兎にも角にも、ある程度の所で止めて、食材を切ってみれば良かったと後悔してます。。
でも、本焼包丁のポテンシャルや限界を知る意味では、良い勉強になりました。


全然別件ですが、本焼きの方が長く切れると言われています。
研ぎ職人さんとの話の中で、一つの理由が浮上しました。
さて、どうしてでしょうか? 

研ぎ試行錯誤


昨夜のブログに書いた通り、早速アプローチを変えて研いでみました。


何をやったかと言うと、砥石に対して平行風に研ぐ、直角風に研ぐ、の動きです。

それらの中間点が砥石と45°で研ぐと言う事になるのですが、極端に角度を
付けて研いでみたりしました。


今日は、牛刀で試したのですが、「なるほど」の連発で、少しワクワクしました。

砥石に対して45°の意味も、より一層理解出来ました!
包丁をどのように使うのか解らない人に伝えるのには最適なのは45°です。


あまり数値化したくないのですが、35°ぐらいで砥石に当てた方が研ぎ良さそうです。


今更ですが、この事を説明する事で研ぎが少し変わるかも知れません。
もう少し、調べ込んで報告しようと思います!


他人の研ぎを見る


ある方の研ぎを見せて頂きました。

どうして、そう研ぐのか?? っと思う事があったので聞いてみた所、
明確な答えは無かったものの、「なるほど!」っと思うポイントを見つけました。

様々な角度から、物事を考えないとダメですね~。

明日、自分でも一度やってみようと思います。

研ぎスタイルですが、研ぎ台の高さや体格などで、個々に研ぎ易いと言うか、
目指す刃を出す研ぎ易い形があるように感じました。

骨格とかも関係あるかも!人間工学ってヤツですかね~


プロフィール

TATSUYA AOKI

Author:TATSUYA AOKI
大阪堺の包丁屋で働き、試行錯誤を繰り返す男です。

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