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研げない砥石で!


硬いステンの牛刀と、家庭用三徳包丁の小刃合わせを行いました。

本来ファクトリーエッジで良い刃が付いているもんなのですが、
今回の包丁は、イマイチでして・・・。 このままお客さんに送り出す
には忍びなく、実験?実証も兼ねて研ぎを行いました。

小刃合わせの範囲なので、研ぎ抜いたりはしないのですが、ある程度
基本で付いている刃を除去しないとパリっとした刃が付かないので、
それを取るべく、#2000辺りの砥石でザッと研いで、出たカエリを仕上げで
取る作業を行いました。

アルミホイルのようなカエリを取るだけなので、対して研磨力は必要無し!
逆に良く研げる砥石だと、新たにカエリが出て堂々巡りに陥る。

これまで超セラ#3000や北山などに固執していたのを一掃して、逆に研磨力
の低い天然砥石を取り出してみた。

大平の砥石で硬めの物を使用。
カエリを取る事だけを考えて、一方向のみに研ぐ。
表は押すだけ、裏は引くだけ! これを数回繰り返すとポロポロとカエリが
剥がれ落ちていきます。

2012-8-31-001.jpg
写真:砥石の上に剥がれ落ちたカエリ達

所によっては、カエリが残ってしまう事があったので、その場合は残った部分を
裏側で引きながら左右に揺すると面白いように取れる!

この研ぎのキモは、中砥(#2000)あたりでしっかりカエリを出して上げる事。
研磨力の低い砥石(天然、キングG-1)などを使用してゴシゴシ研がない!
*研磨力低くても研ぎに掛かると、カエリが出てくる*


ステンレス系の鋼材は、粘りがあるので、単純にカエリが取れにくい。
この取れにくいカエリを取ろうと、良く研げる砥石で頑張れば頑張るほど
カエリが生まれて、終わりが見えないんです。


一定方向にカエリを取る為に研ぐ時の角度ですが、両刃牛刀関係の場合、
表は中砥で研いだ角度と同じにして、裏側を立て気味にします。(片刃気味デス)

裏は、どれぐらい立てたら良いのか!!気になる所ですが、低い角度から、
順番に高い角度に変えて行くと、突然カエリがバラバラ取れ出します。
最初から高い角度でやるのも有りですが、、角度を調べる事で、鋼材の持つ
ギリギリの限界点を知る事が出来ます。


今日は、切る為に肝心な刃先の処理について書いてみました。


左用サバキ東型


サバキに、パシっとしたシノギ筋を立ててみよ~ っと言う事でやってみました。

2012-8-29 005

基礎が肝心なので、ダイアモンド砥石を使用!うっすら残ってる研ぎ跡は、ダイアの痕跡。。

表は#4000で研いで、北山で糸引入れて終了!
裏刃は#4000で糸引きを入れて、北山で整えて終了!

実践使用を考えると、ハマグリ刃風にした方がサバキの用途としては正解ですが。。。

久しぶりの天然

今日、サバキ型出刃包丁の本刃付けをしました。

先日仕入れた、絶品の巣板(日照山)をどうしても使いたくて、
自家用として研ぎ場の砥石に加えて研ぎました。

霞の包丁を研いだ訳ですが、軟鉄は奥深い霞が得られ、鋼は良い艶が出ました。

包丁用の砥石としては柔らかさも程よくて良い感じです。


化粧研ぎ用として使用を始めましたが、ステンレス系の鋼材とも相性が良く、
掛かる刃が付きます。 巣板自体荒いので掛かって当たり前な部分もあるの
ですが、荒れた感じの掛かりでは無いので、面白い砥石に巡り会えたと思う。

大事に使おうっと!

牛刀の本刃付け

牛刀の本刃付けとはなんぞやと、思いを馳せているわけです。

自宅の包丁で色々と実験を繰り返し、研ぎなど無縁の母親に
「コレ使ってみて」っと感覚だけのインプレッションを受け取る実験をしました。

社長もこれに加わり、牛刀のブレードを根本的に研ぎ直して渡してみたり、
糸引を強く入れたり、あえてシノギを作ってみたりを試しました。

途中、母親の感覚を試すため、あえて切れ込まないと思う包丁を渡したりもw
「この包丁はアカン、切れない!」っとズバっと指摘されました。
*新聞紙は思いっきり抵抗無く切れるんですけどねw

糸引や小刃を多様した事もあり、砥石の相性も重視しましたが、食材に刃が掛かった
後の抜けを重視した本刃付けパターンを色々と得ました。

ブレード自体を根本的に研ぎ直すので、小キズがブレードに入るが痛い所ですが、
実践使いで掛かり、切れ込み、切れ抜けの三拍子を揃えるには、この本刃付けが
最も近いように感じています。

個人的な研ぎ工場があればなぁ〜

博士と師範と寿司辰へ

古い話ですが。。。


お盆休みを利用して、博士がお店に遊びにきました。

今回は、ディスカッションの他に包丁研ぎなども行いました。

初めて博士が包丁を研ぐ姿を見せて頂いたのですが、なんだかキモが
解っておられるといいますか、必然的と言いましょうか。。


包丁が中心で研ぐスタイルですね!
研いでいる最中、右足を引いたりした所が「あっ!」っと思ったのです。


夕飯もご一緒に!と言う事で、上田師範が修行した 「すし辰」へ行きました。
師範も時間があるとの事で、3人揃っての夕食会です。


それはそれは、濃厚な内容に発展しましてw
調理師さんが考える研ぎや、包丁使いなど、、当日研ぎ上げた包丁を師範の師範(親父さん)
に使って頂きマグロなどのお寿司を握って頂きました。


すし辰の親父さんは、以前からINOX本焼が気になっていたようで、刃付屋さんを通じて、
1丁購入頂いていましたので、その使用状況をチェック!!

親父さん曰く、「1回挫折しかけたけど、攻略したった!w」っと。

長く切れるし、錆にも強いし、研いで使えるようになれば最高!! のご意見を頂きました。


ベタ研ぎ命だと聞いていましたが、キッチリ糸引きも入っていました。
もちろん、自分自身で探った跡もチラホラあって、自分のモノにしようと試行錯誤したのが
見て取れました。 もう少ししたら、ミラクルエッジを覚えてしまうかもデス。。


いずれにしても、喜んで使って頂いてるのを見て、嬉しく思いました!


師範と博士が、深く話し込んでる横で、親父さんと女将さんと少し話しました。

包丁の組織を観察している事、包丁で切った断面を見てみたい!などなど、、
そこで、言われた事が、包丁で切った断面なんて、切る人によって変わるから、調べても
意味なく無いけど、そんなに参考にならん! っと。。

親父さんが切ったのと女将さんが切ったのは、絶対違うし逆に同じならオカシイやろ?
言われてみればそうなんです、、切るのは我々の技術に掛かってる!的な事を言われ納得。

鋭く、少しでも長く切れる庖丁を造りたい! っと言っても、同じように使う人の技術によって
良い庖丁でも直ぐに切れなくなるように使う人も居るし、 それも使い手の技術やで!っと。。


うっすら、上田師範からこれらの片鱗を聞いてはいましたが、オブラートに包んだ言い方
だったので、グサ!っと来なかったのですが、親父さんと女将さんの自信?と言うオーラにも
押されて、しっかり心に刺さるモノがありました。


シオ(カンパチ)


久しぶりに獲物をゲットしたので捌きました。

中途半端に切れ無い出刃庖丁を使用。。。(包丁屋としてアカンやろw)


最初の皮が思ったように切れ無いのはイライラしますな・・・。

出刃に置ける切れ味の最重要ポイントは皮をスパっと切る事か!!

2012-8-14 001

2012-8-14 002

久しぶりにしては、上手く捌けた。。。

2012-8-14 003

ここまでは良かったんですが、ハラ骨を透く時、、切れ味の落ちた切っ先アール
では厳しく、包丁を一杯動かして何とか事なきを得ましたが、、綺麗では無く、、
この先の写真はありませんw

いつも釣り場から持ち帰ると身がカチカチになっているのですが、今回は処理が
良かったのか?(血抜きが甘かったけど) 若干活かった感じで持ち帰れました。

上田師範が、ハマチよりカンパチ!と言うように、小さくても旨かったです。。

ちょっとだけ冷蔵庫で熟成させた後、刺身にして食べました。


次、いつ魚をゲット出来るか解らないですが、出刃包丁を研いで置かないとデス。。

今日の研ぎ

今日は、抜けの悪くなった包丁の切刃を研ぎ抜きました。

紙はスパっと切れるけど、食材がスコっと切れない状態です。

要するにやや丸っ刃になった切刃をベタっと研ぎ抜く作業なのです。

パリっと刃を出してあげようと思うと基礎の研ぎをダイアで行い確実な
鋭角を出してあげなくてはなりません。

反った砥石では、研げば研ぐほど反りが刃先(切刃)にコピーされてしまう。

しかし、ダイアのキズを癒すwには柔らかめの砥石で整える事も重要で、今日は
中砥石にWZ1000と言う砥石を使用しました。軟口の砥石で天然の大村を思わせる
研ぎ味なのですが、以外に包丁の鋼材の喰いも良く、研ぎ味も滑らかで綺麗に
仕上がりました。 所詮中砥石なので、綺麗と言うのは切刃の下地が整ったと
言う事に過ぎないのですが。。。

軟口の砥石なので、研ぎ上げるまでに2回面直しを行いました。
せっかくダイアで研ぎ出した鋭角を保持する為には、必要な作業デス。。
”反った砥石で研ぐ時、押す時は影響少なめですが、引いてくる時に刃先を丸くさせます。”

良い砥石を作る職人さんが言った言葉で、
「砥石を新しく作るからには、それを面直しする砥石を作らなければならない!」
砥石を真剣に作っている方だからこそ出た言葉かも。。

楽してやろう〜と甘い考えを出せば、
剥がせるまな板ってありますけど、剥がせる砥石ってないんかなw だいたい3層ぐらいで。。

甘い事考えないで、面直しをマメにする事にします。。


前記事の写真については、後日ゆっくりとご説明致します。

荒研ぎ

研ぎのカラクリに関しての写真をアップしておきます。

アイケの包丁だったので荒研で刃付屋さんが止めた物です。

皆さんが研いで、砥石に当たる所、当たらない所が解るかもしれません。

2012-8-4.jpg

どうでしょうか?

プロフィール

TATSUYA AOKI

Author:TATSUYA AOKI
大阪堺の包丁屋で働き、試行錯誤を繰り返す男です。

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