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洋包丁のカエリ取り

台風来てますね。。 被害が出なければ良いのですが、
海水を引っ掻き回して欲しい思いも少しあります。。。
(釣り人としては、夏から秋の海になって欲しい!)


洋包丁のカエリ取りを簡単に記事にします。

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一般的に考えて、中砥石で研いでカエリを出して、仕上げ砥石で終わるパターンが
多いかと思います。(スチール棒を使う場合もあるかも!)

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レンズ収差で歪んでますし、マクロレンズを使ったのですがカエリまで撮れなかった
のですが、刃先にカエリが出ています。


このカエリを砥石の上で何とか取りたいもんです!


中砥石で研ぐ場合は、普通の研ぎでOK。砥石に対して45°~60°で前後に研ぎ
効率良く刃を研いでカエリを出してしまいます。


この後、砥石の泥を全部洗い流してから、カエリの方向を揃える作業を行います。


カエリを表か裏に整列させる研ぎを行う。

これは、前後に動かすとアッチコッチへカエリが行くので一方向に動かします。

右手のみで研ぐ場合、 表は押すだけ、裏は引くだけ の研ぎを行います。
(2回~3回押し引きする。ここでカエリを取ってしまわない方がよい気がする。)

刃が砥石に当たる角度は、お好みです。
刃を寝かせるほど、カエリが取れにくくなります。(鋼材によって寝かせる角度に限界がある。)

中砥石で、カエリを整列させた後、仕上げ砥石で研ぐわけですが、刃先のカエリだけ
を仕上げ砥石で取る場合、先ほどと同じ動作を繰り返して、カエリの接点だけを研ぎます。

刃先をベタで仕上げたい場合は、中砥石と同じ角度で表は押すだけ、裏は引くだけ の研ぎを行います。
するとだんだん、砥石の上にカエリがポロポロ取れ始めます。
押し引きの回数は、鋼材の粘りと硬さによって変化します。

2012-8-31-001.jpg


これでカエリが取れない場合は、角度が浅い(刃角が鋼材に対して薄すぎる)ので徐々に立てる
必要に迫られます。 糸引状態になりますね。
強引に取るなら、左右に揺すって取る研ぎもありますが、結局刃が薄過ぎて刃先が潰れて
早い切れ止みに繋がる事もあります。



この糸引を入れる角度も鋼材によって色々で、粘り多い鋼材ほど糸引角を立て無ければなりません。
硬い鋼材ほど、糸引角が浅くて済む場合が多く粘りの無い鋼材も浅くて済みます。

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SUISINのINOXは、若干粘り強いので軽い糸引きを入れる必要がありました。
この包丁の特性としては、この研ぎ方法がマッチした訳です。

2012-9-29 012

レンズ収差ありますが、中砥の研ぎ跡の先に細く研がれた糸引の跡が見えます。
だいたい、この糸引の部分だけ刃が弱るので、次の研ぎが楽にもなります。


SP-INOXだと、この糸引きが無くても大丈夫です。
あった方が、無いより刃持ちは良くなるんですが、限界点がINOXより上です。
限界点=カエリが取れてくれる薄さの事!


カエリを整列させたい理由は、カエリの方向を明確にしたい為です。
表裏、バラバラに配列されると、表を研いだ時に取れるカエリと裏を研いだ時に取れる
カエリが混在してしまい、どっちかが取れると、どっちかにカエリが出る事を防ぐ為です。

最近の仕上げ砥石は、研磨力があるので知らない間にカエリを生み出してしまうので、
あえて、研げない砥石を使うのも一つです、カエリがある部分だけを研ぎ落としてくれます。

また前後に動かす研ぎでは無く、一方向にするのも、カエリを確実に刃先から離す為で、
アルミホイルのように薄くなったカエリが刃先を包む事を防ぐ為でもあります。

包丁の鋼材や焼き入れ具合などによって性質が異なるので、この限りではありませんが、
V金10号などでも、この方法でカエリ取りを行う事ができます。


今回は、カエリ取りだけを記事にしてみました。
ちなみに、これだけでは抜群の切れ味は得られません、ブレード自体の構造も合い重なって
心地よい切れ味に発展してゆきますので、色々とお試し下さい。

10000番だで!


身近な所で、10000番の砥石をゲット。。

どんなもんかと、早速使ってみました。

2012-9-26.jpg
綺麗なうちに写真を撮っとくw

ちょいと、バタバタしながらの一日だったので、白二鋼の包丁しか当てれなかった
ですが、ファーストインプレッションとしては、かなり柔らかい。。

糸引きを入れるに使う砥石では無い感じです。
包丁鋼材を良く研いで?と言うか、持って行ってくれる感じです。

粘りのある白二鋼と硬い白二鋼の両方を当てましたが、粘りある方のが相性良さそう。
(カエリを取る意味で!)
って事は、牛刀のカエリ取りに良いのでは!!っと期待が膨らみます。

また、色々使用してみてポテンシャルを探してみようと思います。


PS:北山と嵐山、ダイアモンド砥石#500 WebShopに入荷しました。




研ぎについての悩み

今日、夕方に遠方から包丁を求めて若い洋食の調理師さんが来ました。

調理師になって2本目の包丁らしく、ちゃんと店舗で購入したいとの事でした。

研ぎについての疑問が多いようで研ぎ講習などの要望も!
遠方からだったので、時間が許せば今日簡単な講習をさせて頂けば良かったと・・・。
次回、堺に来られる機会がありましたらご連絡下さい。←ってブログ読んで頂けているのかな?(^^;


そこで、どんな風に研げば良いのか!を少し書こうと思います。


研ぎの基本は、専門書やネットの動画で確認することが出来ます。

まずは、コレを攻略する事に尽きるのですが、二次元で見るより三次元(実演)
を見たほうが、一発で納得する事も多いです。 僕の場合調理実習でそれを感じました。


仕事で庖丁を使う以上、砥ぎに掛ける時間的制約や実践に耐えうる刃付けが必要になってきます。

闇雲に研ぐより、狙った切れ味と耐久性を得る為に、必要最小限の砥ぎで済ます事が最良です。


キモは、狙った切れ味と耐久性の見極め?で、職場環境や一日の仕事量、個人的に求める切れ味感覚
これらが大きいポイントになるように思います。

一日の仕事量などを道具的に考えると、庖丁砥ぎ具合が決まってくるように思います。
これは、置かれている現場環境によって変化するので、コレをやれば大丈夫!ってのがありません。
ザックリ言えば、大丈夫ラインはあるのですが、、その次に求めるのは切れ味の感覚です。

思っている切れ込み具合や抜けを実現出来ると、ストレス無く仕事を行えるように思うのです。
あ・うんの呼吸で切れる庖丁ほど、リズミカルに仕事が出来るハズ。切りたくて仕方がなくなる
と言いましょうか、、相棒として任せられる庖丁に砥ぎ上げる事が恐らく最終目標です。。


今日はちょっと、まとめてみます。

1.職場環境考える。(真名板の事とか、砥ぎに掛ける時間とか、職場の料理方針)
2.一日の仕事量を考える。(庖丁稼働時間)
3.自分の欲しい切れ味感覚を発見する。(切れ過ぎてもダメかも!)

洋包丁でも和庖丁でも同じで、どんな鋼材でも砥ぎによってある程度は攻略できます。
それでも、折り合いが付かない場合(仕事量が多すぎる、欲しい切れ味が違う)などが
出て来た時、庖丁鋼材のグレードアップを測ったり、切る技術を向上させたりする方向へ
シフトして行くのが、良いのかも知れません。

色々実験してきた事、職人さんに教わった事、上田師範から教わった事が蓄積されてきて
引き出しが結構沢山できました。(まだまだ引き出し多い人は居ると思う!)


砥ぎ講習会など行なって、基本の砥ぎ+個人的な使用方法や理想に合った砥ぎ方案内も
今後して行ければ、良いなぁ~っと思っています。


洋包丁研ぎ具合と実践



洋包丁の研ぎで、ブレードの研ぎ抜き具合と言うのは一つの基準が出来た。

包丁の抜けと、刃の強度を考えた時、しっかり抜けば抜くほど刃が頼りなく
なりがちなので、糸引か小刃を多様しなきゃなりません。

そこそこ強度を考えた研ぎ抜きと、激的糸引刃付けを10日前に行いました。
激的糸引とはベタ研ぎの糸引です。(意味不明ですが、切れる刃先はベタ研ぎ状態)

もう使えない!!っと思う所まで使って下さい。と言って渡した包丁ですが、
10日間で帰ってきました。 もちろん研ぎ上がりそのままの刃では無かった
ですが、簡単な研ぎで戻るかな!っと思う範囲の刃の弱り具合でした。

想像では、2日〜3日でアウトやろうなぁ〜っと思っていたのですが、結構
持ったなぁ〜っと言う感じ、もしかしたらと言う期待もあったので、ちょっと
嬉しかったり(^〜^)v

そして今日は、ベタ研ぎ糸引から、ナチュラルハマグリの糸引へ刃付け直し、
再度、調理場へ出張して頂きました。想像では、ベタ研ぎ糸引より長く持つはず!

ベタ研糸引やナチュラルハマグリ糸引と言ってますが、目に見えません!
蛍光灯で透かして初めて解る程度なので、凄い細かい話なのです。

ちなみに、この糸引テストの包丁はSP-INOXです。

遂げず。。



あれ、これ、っと急にバタバタして、結局本刃付けに迎えませんでした(泣)

いつもの様に淡々と出荷前の包丁を砥石に当てましたが、ピュアな砥石面は気持ちが良いですね! 

砥石も一皮しっかり剥いてあげると、しっかり応えてくれます。


多分、明日も研げないので、土日月のどれかで出勤して静かに研ごうかと思っています。


本刃付けの準備

明日から、溜まった本刃付けを開始します。

研ぎを開始する前に、面直しを行いますが新鮮な気持ちで本刃付けを
開始したいので、今日中に実働している砥石達をしっかり綺麗にしました。

2012-8-29 006

それと、同時にどんな風に攻めて行こうかを明日研ぐ包丁を観察!
思い通りに研ぎが進むか、非常に楽しみでもあります。

研ぐ部位を選ぶ


「達哉の研ぎは本刃付けは、まだまだやな。。」

先日、刃研ぎ職人さんに言われた。

このまだまだとは、時間が掛かり過ぎていると言う意味らしく、
理想の研ぎ上がりを達成するまでのプロセスが解って無いらしい。。

これは本刃付が切れるとか切れないとかの話では無く、僕が3時間掛けて
研いだ本刃付と、職人さんが30分で研いだ結果が同じと言う事。。
(厳密には研ぎ上がりに違いはありますが、同等の事をするのに時間差がある事)

その時間の差は、どこに生まれるのか??

それは、以前書いた事もあるかと思うのですが、研ぐ部位の見極めです。


どこを研いだらエエのか! どこから研げばエエのか?
これは、各包丁の個体差も関係するので、コレ!とは言えない。

切っ先から研ぎます。 じゃあ、それは刃側から? シノギ筋付近から?
そんな細かい研ぎ始めの場所の選定です。


今日は、職人さんに言われた事を意識しつつ、この包丁を本刃付けするならどうする?
裏押しするなら、どう当てる? ってな事を、考えて一つの研ぎスケジュールを思い描いて
答え合わせの意味で研ぎをしてみました。


答え合わせは、60点ぐらいでしょうか。。。
思い描いた通りの場所とは違う所が研げたりしました。


ちなみに、このまま強引に研ぎ進んでも結果は同じで本刃付けは完了するのですが、
時間の浪費と砥石のを消耗するだけかも・・・。


これは、包丁販売や研ぎを仕事として考えた時の研ぎなので、普段の研ぎとはあまり
関係ないかも知れませんが、普段のメンテナンスで研ぎをされる場合でも、研ぐ部分の
順番を考えて研ぐ事で研ぎ時間を軽減出来るかも知れません!


魚で言えば、水槽から生きた鯵を出して造りにするまでに、遠回りしないで効率よく
盛りつけまで持っていくような工程を想像して下さい。

今、何をすれば早くお客さんに造りを出せるのかと考えた時に、余計な動きをしない
ような流れを考えるのに似てますね。。。

白三鋼選定


現在、一流鍛冶屋が打った白三鋼を選定しています。

白三鋼でしょ〜〜〜 っと思うなかれ!
その白三鋼も鍛冶屋によって性格がガラっと変わる。。
だれが作っても同じなら、本末転倒なんですがw

やはり白三鋼も、パリっと系と粘り系に分かれる。

パリっと系は、研ぎを入れた際、表研いで裏押ししたらパリっと刃が付く!
これぞ和包丁と思わせるアレ。 ただし、耐久性は劣る。

粘り系は、カエリとの戦いが待ってますが、切れ味の滑らかさと刃持ちの良さ
はこちらの方が上! 個人的には、仕事道具としては粘り系の方が良さそうに
感じているのですが・・・。

しかし、良い包丁と言われそうなのは、パリっと系かも知れませんね。

でも、一流の鍛冶屋がきっちり打った包丁は、ちゃいますわ〜。
黙ってたら白二鋼と間違える人が出てくるかも知れません。

最終実践テストを、これから行おうと思っています。

研げない砥石 その2


前回書いた、研げない砥石(研磨力の低い砥石)の方法で、色々な鋼材を試しました。

粘りがある鋼材に対しての攻略方法でもあったのですが、硬さが無いと使えません。。
硬いのに粘りある!?ってのが矛盾なのですが、酔心の洋包丁INOX鋼は8Aながら、
硬めの設定になってるので可能。SP−INOXはもちろん可能。
その他では、V金10号も大丈夫! 全てパリっとシャキっと刃が付きます。

その後の刃持ちに関しては、鋼材の性能と使い手の使用方法に委ねられます。


研げない砥石とはなんぞや?

っと思われるかと思いますが、昔ながらの砥石達がそれです。
天然は狙いが付かないので別として、キングのG−1やS−1などが丁度良い研磨力で
無駄なカエリだけを持って行ってくれます。 
(研ぐ気になってグシグシ研げば、それなりの研磨力が出てきます。)


ある程度、包丁と付き合いがある方(研ぎをしてきた方)が最終的にG−1などに
戻ってくるのも理解出来るかもデス。。


最新の砥石では、スエヒロさんの極妙シリーズの細かいのが良いのかもしれません。
ゲットして使って見ようと思ってますが、各方面からの情報だけを参考にさせて頂くと
余計な事をしないような気がしています。


洋包丁に関して、刃先の処理はだいたい定まってきました。
あとは、ブレード自体の抜けの処理です。←実はコレが一番のキモだったり。。。

プロフィール

TATSUYA AOKI

Author:TATSUYA AOKI
大阪堺の包丁屋で働き、試行錯誤を繰り返す男です。

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