良いものほど長く愛せる
堺三大鍛冶屋の庖刀
先日、今治から来店頂きましたお客様の包丁。
300mm 柳刃 酔心疾風 土井逸夫作 本霞プラス仕様
195mm 出刃 鬼手仏心 富樫憲治作 本霞プラス仕様
昨年末に神戸から来店頂きましたお客様の包丁。
240mm 鎌形薄刃 白一鋼 池田美和作 本霞プラス仕様
各包丁が、先ほど完成致しました。

全て本刃付けのご依頼を頂きまして、鍛冶屋の違いや鋼材の違いを感じつつ、
研がせて頂きました。全て本霞プラスの構造でしたので、素直な刃付けができました。
出刃は、切っ先アールと若干のハマグリを加えた為、綺麗な関節が出ています!

土井逸夫作の青二鋼。 軟鉄と鋼の境目がハッキリ見えて真空接合を感じます。

富樫憲治作の白二鋼。 耐久性ある白二鋼を目指している事もあり、優しい色艶が出ています。
この2丁は、お客様が柄のついてない状態の包丁を手に持ち、想像でバランスを考慮した
包丁ですが、お話していたように、「うっ!」っとくる、良いバランスに仕上がりました。

池田美和作の白一鋼。 1mmでも動かすとスバ!っと切れ込む鋭い刃が出ています。
空中戦(カツラ剥き)と地上線(刻み、打ち物)を考えて、薄く研ぎ込み、糸引きも加えています。
前に押し込むだけ、惰性で切れていくような刃になっているように感じます。

各鍛冶屋の刻印入りです。
同時に仕上がって、揃う機会が無かったので記念撮影です。
波紋・・・。
先日の白一鋼水本焼で波紋を研ぎで浮き出させられるかを試しました。

わずかに。。。シノギ筋辺りに薄っすらと出ました。
波紋の先が切刃に少し掛かる感じです。
この先まで硬さがあって、鋭い切れ味が出るという事になります。
相当長い間使えますね!
研ぎで波紋を出す事だけを考えると、油焼で白三鋼/青二鋼/青一鋼の順番で出やすいです。
良く質問を受けるので、お伝えしておきますが、白一鋼と白二鋼は水でしか焼きが入りません!
青鋼系、白三鋼は水と油の両方で焼き入れが可能です。
どの組み合わせが良いのか!?は解りませんww
それについては、鍛冶屋の技術もありますし、使い手の好みもあります。
で、
波紋を出すために試した砥石ですが、
1.内曇
2.内曇+丸カトモ名倉
3.巣板
4.日照山合砥
5.日照山合砥+丸カトモ名倉
上記の順番です。
1と2の組み合わせは、良く無かったw
妙な照りが出て、違和感タップリ(><)b
3は全てが霞んで、これはこれで切れそうな艶がでました。
この時に、更なる鋭い刃が出てしまった。。
4で、泥の中を泳がせるように研いだら波紋が見えてきたので
色気付いて、、、5の+丸カ名倉を加えたら艶っぽくなった。

もう一度、超仕上げ当てたら!!っと血迷いそうでしたが、ハリハリの刃が立ったので、
この辺りで終了としました。
柄付けを終えてから、最終仕上げ研ぎになります。
出来れば、この刃のままで裏押しをして終えたいと思います。
結局、最終的な刃は裏押しの具合で決まるように感じています。
掴みどころの無い天然砥石を使うのは控えておこうと思っていました。
今回は純粋な白一鋼だったのもありますが、また、使いたくなってしまった・・・・。
白一鋼本霞プラス
今日は就業時間15分前から本刃付けを始めました。
オーダーメイドにてご注文頂きまして、今か今かとお電話を
数回頂いておりまして。。ようやく本刃付けまで来ました。

おなじみ本霞プラスの研ぎが施されています。

これを、無理に力を入れないで研ぎ進めるだけ!

本霞プラスといえども、多少の凹凸は存在します。
ダイア#500で当てているので、結構ポコポコっと見えますが!!!
普通の荒砥石でゴロゴロ研ぐと、直ぐに解らなくなると思う程度です。
砥石の当たらない所は他よりも低い(凹)ので、その周りを研いで砥石に当たるのを待ちます。
それによって、刃先が薄くなって破れたり、シノギ筋が崩れ出すようであれば、攻め方を変えます。
これまで、本霞プラスでは、そんな事になった事は無いです。
今日は、時間があまり無いのにも関わらず、#4000中仕上砥石を入れました。

池田作の白一鋼と、相性を見る意味もあったりします。。
当然ですが、#4000なりの鋭さですww
続いて#10000超仕上砥石へ!!!っと思った所で研ぎ時間終了。

以降、メール返信タイム!
OKメール返信完了! よし、次のメール~ っと思ったら、さっき送ったメール返信を受信。。
チャット状態が続いて終了です。 そして、このブログww
さて、少し南港へ。。。 キビレ(黒鯛風)を探しに行ってきます。
白一鋼水本焼
270mm 剣型柳刃 白一鋼水本焼 本霞プラス 木砥仕上 マチ磨
刃付けから上がって来たので、ワクワクして本刃付けを行いました。
さ~!始めようかと思ったら池田氏が来社!
研ぎ前の包丁を渡して写真を手に持ってもらい。「パチリ!」

工場での作業中には絶対にお願い出来ない事です・・。。
刃にアールが少ない包丁なので、基礎の研ぎがしっかりしていないと
研ぎ難い包丁になりがちです。 究極は蛸引などで幅が狭く長いと、
研ぎでの逃げシロが無いので、切刃に関節が出たりしちゃいます。。

本焼なので、光らせる方向で。。。。
波紋が思ったよりも峰側に出ているので、平の上に波が出ています。
↑見えにくいデス・・・。
シノギ筋辺りに波の先が出ていれば、天然砥石で浮いてくるかも!っと想像しています。

切刃の抜け具合。。 ナチュラルハマグリです。
明日、もう少しピカピカにしてから、天然で波紋が浮くか試してみようと思います。
天然 巣板
昨日は霞の左用包丁に悩まされたので、気晴らしに本霞プラスの右用を研ぎました。

最近感じてきたのは、刃元を研ぐのがあまり好きでは無いww
本霞プラスなので、切刃の中に出る角度関節は極めて少ないのですが、決着を刃元にすると
やはり、どこかでシワ寄せが来てしまいます。。

刃元から研ぎ上げる方法もあるのですが、切っ先アールの部分は綺麗にしたいので・・・。
ちなみに!!刃元から刃先へのテーパーが無い包丁だと、こんな事を気にしなくて済みます。
実際に使うには、この構造が良いと思うのですが綺麗に研ぐ事を考えると矛盾が!!!!!

やっぱり、切っ先を研ぎ抜くのが好きです。
途中で中砥石を通すと、少なからず砥石の反りに従順して刃先が丸くなるので、
ダイア#500から超仕上♯10000にぶっ飛んで、最後は巣板を当てました。
途中に柔らかい合砥石「八鹿山」も当ててみましたが、美しさは巣板に軍配がw
鋼に見えるダイア痕跡が気になりますが、これを残してでも研ぎ抜きたいのです。
揚げ足を取るならば中砥石の面直しをこまめに確実にすればエエ事なんですけど・・・(笑)