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剣型フグ引青一鋼本霞


少し前の研ぎですが、270mm 剣型 フグ引 青一鋼 池田作 本霞+を研ぎました。

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本霞プラスの庖丁ですので、本刃付けし易いのですが、やはり青一鋼は硬い!!
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軟鉄、裏の紋鍛錬(波模様)は鋼が浮き出るぐらいに硬度差があります。
職人さんが、庖丁構造を研ぎだす時に、軟鉄の方が良く研げるor鋼が研げない事が解ります。

こうなると、手研ぎではダイアモンド砥石の出番です!

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反射して見えにくいですが、手研ぎでも軟鉄が先に研げていくので、鋼を狙って研ぎます。

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途中、G-1砥石を当てて、様子をを見ました。
池田氏は鍛冶屋ですが、自身でも少し研ぎをするようで、その際G-1砥石を使って様子を見るとか!
これまで、白一鋼、白二鋼、白三鋼、青二鋼、と相性を確認していますが、今回の青一鋼との相性は
良くないと個人的な判断です。

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あまり、色々な砥石で研ぎたく無いので、#10000超仕上まで飛んでみました。
硬いだけあって、艶は出てきますが、、、滑るような刃しか出ません。(爪には掛かる。。)
*硬過ぎると、普通の研ぎで良い刃が出しにくい・・。

もう一度だけ、G-1に戻ってみたら切刃が綺麗になったので、これを生かしたまま、、、

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最後は北山#8000で糸引と裏押しを行い終了しました。

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写真では撮れませんでしたが、ハガネに鍛流線がハッキリ出ていました。
かなり、低温で鍛えた庖丁だと思います。ちゃんと作ると、これくらいの硬さが普通なのでしょう。
本焼庖丁みたいな打刃物です!


(庖丁鋼材/鍛冶屋)と(砥石)の相性について

鋼材の持つ性能に委ねて研ぐ方法と、砥石で鋼材の切れをコントロールする方法があります。
炭素鋼、ステンレス鋼、よほどの量産品では無い限り、絶対的な相性を得る事は難しいです。

同じ名称の鋼材でも作者によって性格が変わります。
ステンレス鋼も同じ!熱処理で大きく変わります。

これまで、鋼材の持つ性能に委ねて研ぐ事が主流だったと思っていますが、現在は砥石が沢山
あるので、鋼材や熱処理、鍛冶屋に関係なく、鋭い刃を砥石が出してくれます!

たとえ、100円均一庖丁でも砥石を選べば白一鋼のような刃が出せます。

でも!! 鋭い刃が出るだけで、耐久性なるものは存在しません。
一撃で、その切れ味は消えてしまいます。 だから、優秀な鍛冶技術、熱処理などは必要です。

だから、何なの?っと言われそうですが、刃の切れ具合は思ったようにコントロール出来ます。
青鋼で白鋼の掛かりとか! 白鋼で青鋼の耐久性とか! ステンを炭素鋼のようにとか!

選択肢が増えて、出来る事が増えてきたように思います。

ちょっと、伝統などから離れた感じですが、、、毎日の研ぎやメンテナンスを考えると!!ですね。

出刃庖丁のマッチング


今回は、出刃庖丁についてお客さんとメールで深く話をしました。

まず、綺麗に研ぎが出来る事(シノギが立って裏の比も綺麗に出ている。)
これは、本霞プラスで解決!

鋼材の種類は、研ぎ易さと使用頻度を考えて白二鋼!

柄の材料も、色々な種類がありますが、耐久性や滑りにくさをなどの
特徴をご説明して選んで頂きました。

もっとも難しいのは庖丁寸法です。
出刃庖丁は魚の大きさに合わせて寸法を選びます。
普段は小型の魚を捌く機会が多いけど、時々大型の魚を捌く。

兜割をするなら、寸法が長い方がやり易い。。
だったら大きい魚に合わせて兜割もし易い大きな出刃を選ぶ方が良いのか。。。。

そんな話細かく詰めて、180mm出刃鬼手仏心をお買い上げ頂きました。

2017-12-6-1.jpg

本刃付けのご依頼も頂きました。

本霞+庖丁構造に組み込んだ「鬼手仏心」です。
庖丁相談をお受けしている時から、「これは良いぜ!!」っと選んでいました。


ハマグリ刃指定でしたので鋼の部分をハマグリにしました。
シノギ付近は、それなりに研ぎ抜いていますので、ハマグリを抜けた後の切れ抜けは抜群です。

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お客さんご自身が研ぎをされる場合、鋼部分を重点的に(刃を付ける事に専念)する事で
ゆっくりと切刃構造が育ってくるかと想像しています。

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いつも通り、安定の裏押し状態です。柳刃庖丁並みの美しさ!

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特に必要は無い写真ですが。。。今回は嵐山で撮ってみました。
北山のように左右対称じゃないとダメですね~。 記事への彩り写真デス。。

ご要望通りの庖丁に仕上がったと思います。
今夜到着予定です。気に入って頂けると嬉しいです!


研ぎメモ 
◆使用砥石◆
切刃
ダイア#500
ダイア#1000
中仕上げ砥石#4000
超仕上砥石#10000

糸引刃
超仕上砥石#10000

裏押刃
ダイア#1000
超仕上砥石#10000


超仕上砥石#10000を多く使っていますが、主に艶出しの為と
カエリを外す為、細い糸引を入れる為に使っています。
基本的に刃が付いてから、#10000を使っているイメージです。

実際には北山か嵐山、シャプトン#8000などで安定した刃が出ます。
プロフィール

TATSUYA AOKI

Author:TATSUYA AOKI
大阪堺の包丁屋で働き、試行錯誤を繰り返す男です。

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