初期ロット疾風
土井敬次郎氏と始めた疾風シリーズの初期ロットが修理で戻ってきました。
2002年に製作された物で16年間現場で使われてきた1丁です。

270mm柳刃でしたが、寸法は240mmにまで短くなって、切っ先形状が変わっていました。
持ち主の方が、丁寧に砥がれていて錆びなども無く、良好な状態です。
鶴首にならず、切っ先を上げる方向で使われています。
研ぎとは、別のメンテナンスでしたが、砥ぎたくなってお客様に確認後リフレッシュさせて頂きました。

切っ先は良く効くように、峰から研ぎ下ろして調整。
それに伴って、切っ先の切刃が狭くなるので、シノギを上げました。
もっと上げたかったのですが、無理に減らす事もしたく無かったのと、お客様の今後の研ぎを
想定して、必要最低限で抑えました。
パンっと張った、良い包丁ですが砥石乗りが良く、研ぎ易い包丁です。
土井敬次郎氏が打った包丁の特徴が、ハッキリと解る1丁でした。
敬次郎さんが、言っていた「こんな包丁が作りたい!」その物です。

流石に、裏刃は広がっていました。
これを修正するには、裏の比を取り直す必要があります。
包丁の形として完全に修正するならば、この部分も調整が必要ですが、
裏の刻印も消えるし、鋼も少なからず減るので、このまま使う方がBSETだと!
長く切れる包丁は、研ぐ回数が減ります。
完全に切れ止む前に、仕上げ砥石を当てれば鋭さは戻ります。
切れ止んでから研ぐと、サイクルが変わるだけで本当の良さは得られません。
それなりの金額はしますが、それ以上の価値はあるのではないでしょうか?