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職人と上田屋へ


刃研ぎ職人さんと上田屋へ行きました。


鍛冶屋と調理師の接点は極めて少ないのですが、刃研ぎと調理師の接点は大きい。
どんな感じになるのかと、、ワクワクしながら職人と上田師範の話に耳を傾けました。


職人さんからは、庖丁を研いでいる観点からの調理師さんへの要望?理想論などを
聞いていたので、上田さんと話しが合う?(庖丁に対する思いが合致する!)だろう
と思っていましたが、やはりその通りで、「ちゃんと考えてる板前さんが居るんや!」
っと自分が目指している事への確信を得たように見えました。

職人「お前には解らんやろうな~この話し!」っと弄られつつ話しは流れていきました。


刃研職人が目指している理想の庖丁とは? そんな話しに行き着いた所で質問が!

職人「俺が研いでる庖丁のドコがいいと思う?」
達哉「シノギ筋が立ち易いし裏押しも綺麗に当たるし!」
職人「お前はそんだけしか解ってないんか。。。」っと寂しそうに且つ勉強不足を指摘。

もちろん答えは聞けないし教えてくれない。

それ以外に何かあるのか??  鋭く切れるような鋼にするのは鍛冶屋の仕事、それを
切れる刃物に研ぎ上げるのが刃研屋の仕事、加えるならば、シノギを立て易く裏の比も
綺麗に出す。 それ以外になんかあるのか??


もちろん、この職人さんが研いだ庖丁を本刃付けした事もある。
確かに研ぎ易いし、砥石への当たりも良い。 他に何が???


当日は深夜までワイワイして、日付が変わった頃に職人を家に送り届け、帰り道に
ずっと「なんやろ?」っと考えながら、帰宅。


翌日の夕方に時間が出来たので、もう一度その職人さんが研いだ庖丁を本刃付けしてみた。
何気なく砥石に当ててみて、切っ先カーブに差し掛かった時。。。「ん??なんやこれ?」


切っ先カーブが勝手に研げる事に気が付く。
もちろん、肘を上げて切っ先カーブを砥石に当てに行くわけだが、当たり方が違う。

「もう、そこしか無い」

って所に、バシっと当たる。 いやいや、当たってしまう状況。

よっぽど意地悪な気持ちで砥がないとツル首には出来ない感じすらする。
昔、矯正箸なる物があったが、そんな感じがする庖丁。
砥がなければならない所を教えてくれる感じ。


2011-7-7-1.jpg

この事か??? この日は金曜日、週明けに職人さんの納品があるので、
一か八かその時に答え合わせをしてみよう!



答えは正解!



そこから、そのカラクリについてもっと深く教えて貰いました。

これは、刃研ぎ屋さんしか出来ない技術で、調理師さんが自分で刃の構造を構築する事は
出来ません。 基礎から研ぎ上げる事で研ぐ場所へ導き、形の崩れにくい庖丁となる。

これまでの庖丁研ぎ論を一気に覆すかも知れません。


ツル首に研ぎ上げたい人には、この研ぎを加えた庖丁は向きませんが、新品の形状を維持
したまま研ぎ込んで自分の物にしたい方には、目からウロコの庖丁だと思うのです。


解析すると凄い技術が加えられた庖丁ですが、何気なく研いでると解りにくい。
でも、時間が経った時に何か違うぞ? 大げさに言うと、「研ぎが上手くなったかも!」っと
思ってしまうかも知れません。

2011-7-7-2.jpg


解ってもらえるのか? 解ってもらえないのか? でも調理師さんが研いだ時、形が崩れない研ぎ易い
庖丁に淡々と研ぎ上げる技術と心意気に少し震えました。


どんなに良い鍛冶屋が打った包丁でも、良い研ぎ師が研いだ包丁でも、最終的に切れる刃を出すのは
調理師さんであって、刃物屋サイドではどうする事も出来ない。 でも、そういった工夫は包丁屋の手
を離れてからも、見えないアフターサービスとして継続されるのだと思ったのでした。

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No title

いつも読ませていただいています。
もしかして、切っ先と刃元の境目あたりを
わずかにしのぎを上げる感じにして
切っ先は元のしのぎの立ち方に戻すようなことでしょうか?
基準は裏としてですが。
刃元からの包丁が持つテーパーと勘案して
3次元NCでタービンブレードを削るようなイメージが
沸きました。

Re: No title

コメントありがとうございます。

そうですね!イメージ的にはそのような感じですが、
シノギ筋を上げる方法がキモのようです。

自分自身が、鍛冶屋から上がった包丁を研ぎあげていないので
厳密には解りにくい部分が多いのですが、切っ先部分のシノギ
を無理やり作りに(研ぎ)に行かない感じです。

これだと、教科書通りに研ぎが出来るので切っ先の研ぎや鶴首に
悩まされることが軽減されると思います。

想像されている事とは非常に近い感じです!

プロフィール

TATSUYA AOKI

Author:TATSUYA AOKI
大阪堺の包丁屋で働き、試行錯誤を繰り返す男です。

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