出刃の裏押し
先日から、頭を悩ませる研ぎを行っています。
いや、、悩むほど難しい研ぎではありません。。
ひたすら、出刃の裏スキが無くなるまで押す研ぎをしています。。

写真中央の押し始めた出刃包丁は、僕が淡々と裏押ししている最中の包丁です。
その他は、お客さんから送られてきた、裏ベタの包丁達。。
それらは裏ベタに見えますが、、実際は反った砥石で研がれた為に、中央が膨らんでマス。。
「裏の比を大切に!」を提唱しているのに、どうして? こんなにも裏押しをするのか!
この出刃包丁達は、表具屋さんの出刃包丁で、魚を捌く用の出刃として使用しません。
砲台の無いカンナのような使い方をするようで、裏が平面じゃないと駄目らしい・・・。
腕がパンパンになりつつ、時間を見つけて裏押しをする日々ですが、刃研屋の重鎮「小田幸徳氏」
が会社に遊びに来たので、なんとか効率良く研ぎ出す方法は無いかと尋ねてみた。
研ぎ出す方法は、要約すると「がんばれ!」って事になりましたw
ですが、出刃について話が聞けました。
昔にどこかに書いたかも知れませんが、包丁鍛冶は薄物(柳刃や薄刃) 厚物(出刃など)
に分かれていて、そればかり作っていた。 (現在の鍛冶屋は全種類作る。)
出刃は、本出刃、相出刃、身卸出刃、などを専門に作っていたようで、その中でも魚を捌くのに
使わない、「表具出刃」「鳥出刃」なども作っていたとの事。
表具出刃と鳥出刃は、裏の比が極めて少なく、ちょっと裏押しすれば、すぐにベタになったようです。
鍛冶屋の時点から、専用包丁として生み出していた。。との事。
表具出刃なんて、使う現場が極端に減っているし、鳥出刃の需要もあまり聞かなくなった・・。
必然的に売れない物は作らないので、表具出刃を使う職人は魚用に作られた出刃を使うしか無い。
そう!しっかり、裏の比が取られた包丁です。。。
今回、預かった包丁の殆どが、料理用出刃包丁で極端な言い方をすれば裏の比をえぐってある
ような包丁ばかりでして・・・。 裏ベタになりにくいように研がれている訳ですw
そんな中でも、有名店の刻印が入った包丁は、鋼が良い状態で研ぎ易い硬度になっています。
ホームセンターで買ったと思われる出刃は、硬いだけ・・・。
そんな包丁が合計8本あります。
そんなこんなで、、しばらく、裏押しを続けなければなりません。。。
ほとんど、鋼のみを研ぐ作業なので、平面の本焼包丁を研ぎ卸すのに等しい^^;
とりあえず、頑張ります。